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福岡地方裁判所 昭和59年(ワ)258号 判決 1985年8月23日

原告

加藤文明

右訴訟代理人

馬奈木昭雄

右訴訟復代理人

三溝直喜

被告

日本火災海上保険株式会社

右代表者

川﨑七三郎

右訴訟代理人

森竹彦

主文

一  被告は、原告に対し、金四九三万一〇〇〇円及びこれに対する昭和五九年三月三日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  訴訟費用は被告の負担とする。

三  この判決は仮に執行することができる。

事実

第一  当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

主文同旨及び仮執行の宣言

二  請求の趣旨に対する答弁

1  原告の請求を棄却する。

2  訴訟費用は原告の負担とする。

第二  当事者の主張

一  請求原因

1  原告は、昭和五七年一〇月二四日、被告との間でつぎのとおりの保険契約(以下、本件契約という。)を締結した。

保険の種類 自家用自動車保険

証券番号 九八七三六七五四六

保険期間 昭和五七年一〇月二四日から一年間

担保内容 対人賠償五〇〇〇万円

対物賠償二〇〇万円

搭乗者傷害五〇〇万円

被保険自動車 普通乗用車 久留米五五た五六六四

2  つぎのとおりの交通事故が発生した(以下、本件事故という。)。

発生年月日 昭和五八年一月一六日午前〇時四〇分ころ

事故の場所 福岡県山門郡三橋町大字蒲船津五六番地

事故車 普通乗用車久留米五五た五六六四(以下、事故車という。)

事故車の保有者 原告

事故車の運転者 坂井良則

事故車の同乗車 花田琴也、古賀聡、原告

事故の態様 事故車で瀬高方面へ時速約八〇キロメートルでドライブ中、反対車線を越えて歩道をはみだし、さらに電柱に激突したうえ道路沿いのクリークに飛び込んだもの。

事故の結果 花田琴也は頭蓋骨下顎骨々折、脳挫傷により事故当日死亡。原告、古賀聡、坂井良則は負傷する。

3(一)  原告は事故車の運行供用車である。

(二)  本件事故により死亡した花田琴也は次のとおりの損害を受けた。

(1) 治療費 三万八九八〇円

(2) 葬儀費 七〇万円

(3) 慰謝料 一〇〇〇万円

(4) 逸失利益 二〇四二万五〇〇〇円

花田琴也は死亡前は株式会社ドイに勤務し年間一七一万四〇八三円の収入を得ていた。死亡当時花田は二〇歳であつたが、本件事故に遭遇しなければ六七歳までは稼働することが可能であつた。中間利息をホフマン式計算によつて控除し、生活費割合を五〇パーセントとしてこの間の逸失利益を算定すると二〇四二万五〇〇〇円となる(但し、一〇〇〇円未満切り捨て)。

(三)  以上(二)の(1)ないし(4)を合計すると三一一六万三九八〇円となるが、本件では友人である坂井良則が運転していた事故車に花田琴也がいわゆる好意同乗をしていたものであり、花田の損害額は二〇パーセント減額するのが相当であるから、原告の花田に対する損害賠償額は、二四九三万一〇〇〇円となる(但し、一〇〇〇円未満切り捨て)。

(四)  花田琴也の死亡により父花田一吉及び母花田ヤス子が同人の権利義務を承継した。

(五)  花田一吉及び同ヤス子は自動車損害賠償責任保険金として金二〇〇〇万円の支払を受けた。

(六)  原告は花田一吉及び同ヤス子との間で本件事故による損害賠償金として金四九三万一〇〇〇円を支払うことを約し、示談書を作成した。(以下、本件示談という。)

よつて、原告は、被告に対し、本件契約に基づき、保険金四九三万一〇〇〇円及び右金員に対する本件訴状送達の日の翌日である昭和五九年三月三日から支払ずみまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二  請求原因に対する認否

1  請求原因1は認める。

2  請求原因2は認める。

3(一)  請求原因3(一)の事実は認める。

(二)  同3(二)及び(三)の事実は知らない。

(三)  同3(四)及び(五)の事実は認める。

(四)  同3(六)の事実は否認する。また、本件示談書は被告とは無関係に作成されたもので、その内容は被告に対して何らの拘束力を有するものではない。

三  抗弁

(保険料分割払特約五条に基づく被告の免責)(抗弁一)

1  本件契約の保険料支払について、原被告間で、別紙保険料分割払特約(以下、特約という。)に従って分割して払い込む方法による旨合意した。

2(一)  特約五条によると、保険契約者が第二回目以降の分割保険料について、その払込をすべき保険証券記載の払込期日後一か月を経過したときは、右払込期日後に生じた事故について、被告は保険金支払の責を免れる。

(二)  本件の場合、第二回目の分割保険料六〇〇〇円を払い込むべき保険証券記載の払込期日は昭和五七年一二月二五日である。

(花田琴也のいわゆる他人性について)(抗弁二)

花田琴也は、事故車の共同運行供用者というべきであつて、自動車損害賠償保障法三条本文にいう「他人」に該当しない。すなわち、本件事故発生に至るまでの過程は次のとおりである。

① 原告花田琴也、古賀聡らは柳川高校を同窓で卒業した仲の良い友人同士であつたが、昭和五八年一月一五日の成人の日に新年宴会をしようと原告方に集まつて坂井をも呼び集め、計七名で西鉄柳川駅ちかくのレストランで宴会をした。その後スナックに回り原告や他の者は酒を飲んだが、坂井は全く飲酒しなかつた。更に別のスナックに行ったが満員で入れず、午後一一時三〇分頃からラーメンをたべにいつた。この間帰る者もあつて、結局原告方に戻つたのは原告、坂井、古賀、花田とあと一人の四人であつたがその一人も原告方前から帰つたので残りは前記四人となつた。原告方でビデオを見ようということだったが、時刻が(翌一月一六日午前〇時三〇分頃)まだ早いということからか、原告方前で花田が「何処かドライブでも行こうか」と言い出し、他の者もこれに賛成して、たまたまそのときまで飲酒していなかつた坂井が運転することとなつた。車は坂井が前に四〜五回原告の車である事故車を運転したことがあるので、原告がキーを取り出して坂井に渡し、事故車に他の者が同乗して、目的地も定めずドライブに出掛けた。その途中、坂井の居眠りによつて本件事故が発生したものである。

② この時花田も自分の車を原告方に乗つて来ていた。

従つて、本件事故のとき事故車に乗つたのは、たまたま運転する羽目になつた坂井が前に数回この車を運転したことがあるからというにすぎず、他の車であつても悪くはなかつた。

③ そして、事故車のこの時の運行は同乗者全員の楽しみないし気晴らしのためのものであつて、目的地もないドライブだつた。

④ 以上のような事実の下においては、事故車の運行目的は同乗者全員のためにされたもので、この全員が当該車両の運行供用者である。そして花田琴也もその一員であつた。

(本件示談における原告の真意の欠缺)(抗弁三)

1  本件示談については、本訴提起後相当の期間が経過してから示談書作成に至つたものであり、原告本人は、もし本訴が認容されなければ示談金の支払はあらためて花田の両親と相談するつもりであると考えている。

2  そうすると、本件示談は、原告の真の支払の意思に基づくものではなく、本件保険金請求のみを目的として作成されたものとみるべきである。

四  抗弁に対する認否

1  抗弁一について

すべて認める。

2  同二について

争う。すなわち、本件において、花田琴也は事故車の保有者でもなければ自ら運転したわけでもない。また、同人が事故車を日常乗りまわしていたのでもない。また同人は運転者坂井や保有者であり同乗者である原告とは親友同士であつて、事故車の運行につき、自らの地位等を利用しうる立場にあつたのでもない。事故車のエンジンキーは原告が専有していたのであり、花田琴也が専有していたわけでもない。

また、花田琴也は同乗後助手席で居眠りをしていたのであつて、行き先等運行に関して指示を出したのでもない。そのほか、事故車が運行されることになつたのは、酒を飲んでいなかつた坂井と花田のうち、坂井が事故車の運転になれていたからであること、坂井が仕事の疲れで疲労していることを花田琴也を含む他の同乗者はだれも気づいていなかつたことなどの事実がある。

以上の事実関係のもとにおいては、花田琴也は事故車について運行支配を有していなかつたと認めるべきであるから、同人は運行供用者たりえない。

3  同三について

争う。

五  再抗弁

(弁済の提供)(抗弁一に関して)

1  本件保険料の払込は、訴外加藤登志名義の佐賀銀行柳川支店普通預金口座を利用した口座振替方式によることになつていた。

2  右口座の昭和五七年一二月二五日現在の残高は、二万三九四三円である。

六  再抗弁に対する認否

再抗弁1の事実を認め、2の事実は知らない。

七  再々抗弁

(特約五条の趣旨=弁済の提供の効果の排除)

1 特約五条の解釈について

預金口座引落が可能であるためには、金融機関に対して保険料の口座引落しの依頼が行われることが必要であり、その具体的な方法としては、その金融機関用のコンピューター磁気テープを作成して送付したり、又は文書による依頼書の送付によつたりしている。

本件の場合もそうであるが、コンピューターへの指示は、磁気テープをその銀行用に作成して送付する。この作成は、全国の分を各金融機関毎に中央のセンターで行い、これを送付するので、時間を要し、また、作成送付自体毎月一回締め切り日を設けて行わざるを得ないから、時に保険料の第一回振替日までに、磁気テープの送付が間に合わず、引落が出来ない場合も生じうる。このような場合は、そもそも、口座引落という制度上起こりうる、やむを得ない場合として当然予想されたところであつた。

そこで、右条項の趣旨は、一回の保険料の振替の不能は、その事由が保険契約者に生じた事由によるものであろうと保険者側に生じた事由によるものであろうとあるいは振替金融機関の事由によるものであろうとすべて許容することとし、それが二回にわたつたとき、初めて一定の法律効果を生ぜしめることとしていると解される。

そして、その場合、(すなわち第一回の振替不能が生じた場合)保険者は直ちに保険契約者に対して、次の振替予定日、振替金融機関、口座番号、振替予定金額を通知して保険契約者の不利にならないように配慮している。

2 そして本件では、被告は、原告に対し、昭和五八年一月五日付保険料口座振替案内(これはそのころ原告に到達した。)によつて、同月二五日に、第二及び第三回目分の分割保険料(昭和五七年一二月二五日及び同五八年一月二五日が保険証券記載の払込期日である。)合計一万二〇〇〇円を振替する旨通知した。

八  再々抗弁に対する認否

再々抗弁2の事実を認め、1は争う。すなわち、①口座振替方式による分割保険料の振替開始が、保険期間の始期の属する月の翌々月とされ、二か月もの期間が置かれてあるのは口座引落手続の準備をするために十分な期間として見込まれているからである、②原被告間の本件契約はその前年度と全く同一の内容の、実際には契約の継続に過ぎないから右準備にさほどの期間を要しないはずである、③右の①のような仕組みは、被告の一方的な都合によるものであり、その上さらに被告の都合で振替開始が遅れ、その遅れた振替期日に前回分と当回分の二回分の分割保険料の払込を要求する根拠はない。

第三  証拠<省略>

理由

一請求原因について

1  請求原因1の事実(本件契約の成立)及び同2の事実(本件事故の発生)は、いずれも当事者間に争いがない。

2  同3について

(一)  同3(一)の事実(原告が事故車の運行供用者であること)は当事者間に争いがない。

(二)  同3(二)について

(1) 同3(二)(1)について

<証拠>によると、花田琴也の本件事故による受傷のための治療費として、三万八九八〇円を要した事実が認められる。

(2) 同3(二)(2)について

<証拠>によると、花田琴也の死亡による葬儀費用として、少なくとも七〇万円を要した事実が認められる。

(3) 同3(二)(3)及び(4)について

<証拠>によると、花田琴也の死亡(当時満二〇才)直前の年間収入が一七一万四〇八三円であることが認められ、また、<証拠>によると同人は独身であつたことが認められる。そこで同人の慰謝料及び逸失利益については原告主張額が相当なものであると判断する。

(三)  同3(三)について

花田琴也が好意同乗者であつたことは先に認定したとおりであるが、そのことによつて減殺されるべき損害額の割合は二〇パーセントを超えるものではないと判断できる。

(四)  同3(四)及び(五)について

いずれも当事者間に争いがない。

(五)  同3(六)について

<証拠>によると、①原告主張の示談書は昭和五九年六月ころ作成されたものであるが、その際原告は、花田側から「裁判に必要なので署名捺印してくれ」と言われて右示談書の内容をよく確認せずに署名捺印したこと、②その後同月二八日ころ右署名捺印が原告自身の真意に基づくものではない旨の内容の乙第二号証が原告によつて作成されたこと、さらに③同年一〇月一二日原告は原告訴訟復代理人の事務所において右復代理人から右示談書の内容について説明を受けて、右署名捺印をしたこと納得したことがそれぞれ認められる。

右の①の事実によると、本件示談の成立要件である意思表示の要素の一つである表示上の効果意思(内心的効果意思とは一致しないこともある、表示行為から推断される意思)に欠けるところはないといわねばならないから、本件示談は同年六月ころ、成立したとみるべきである。そして、本件示談について原告の内心的効果意思が表示と一致しているか否かは、後述の本件示談の効力の問題である。

つぎに、本件契約の内容である自家用自動車保険普通保険約款第六章(一般条項)一五条③(3)及び同一四条(7)によると、保険契約者が事故について損害賠償請求を受けて、あらかじめ被告の承認を得ないで、その全部又は一部を承認した場合は、被告は損害賠償責任がないと認められる額を差し引いて保険金を支払う旨規定されており、したがつて本件では、原告が花田一吉らに対して損害賠償責任を負う限度で、被告に保険金支払義務があることになる。一方、前示のところから、本件示談の内容は、右限度を超えるものではないと判断される。

結局、請求原因は理由がある。

二抗弁について

1  抗弁一について

すべて当事者間に争いがない。

2  抗弁二について

<証拠>によると、本件事故に至る経緯について、請求原因に対する認否3(一)の①及び③のとおりであるほか、花田琴也は事故車の助手席に同乗していたものの、事故車の進路や目的地の選択はすべて運転者である前記坂井の判断に委ねられ、他の同乗者は右花田をはじめ皆仮睡していたことがそれぞれ認められる。

そして、先に述べたとおり、事故車の保有者が原告であり、運転者が右坂井であつたことは当事者間に争いがない。

右のような事実を前提として検討すると、本件にあつては、右花田がドライブすることを提唱したのではあるが、その後の事実の経過に照らせば、同人が直接的顕在的具体的に事故車の運行を支配するには到らず、また支配をすべき立場にもなかつたと判断され、まして自動車損害賠償保障法三条本文の「他人」に該当しないとの判断はできない。

そこで抗弁二は理由がない。

3  抗弁三について

先に認定したとおり、原告主張の示談書は、原告が花田側から「裁判に必要だから」と懇請されて署名捺印に至つたもので、その後原告は右示談書が自身の真意に基づくものではないという内容の書面を作成しており、さらに抗弁三の1については、右示談書の作成時期は前示のとおりであつて、原告本人の供述には、被告の主張に沿う部分がある。

しかしながら、本件示談が無効であるとは判断できない。被告の主張が心裡留保をいうのか、虚偽表示をいうのかはともかくとして、本件示談が無効となるのは、右示談書の内容が原告の内心的効果意思と一致していない場合である。ここで、右示談書の内容とは、本件事故の損害賠償としての四九三万一〇〇〇円の支払約束である。ところで、原告が右示談書作成時、花田側に対して相当額の損害賠償をする意思がなかつたとする証拠はない。そして、本件がまさに右金員の支払を求めて、原告が被告を相手として提訴したものであることに着目すると、右のような不一致はないということになる。もつとも、原告は、自らの負担で右金員を支払う意思は有していなかつたであろうが、右金員の負担者が保険会社(被告)であるか原告自身であるかは、原告が右金員を支払う意思を有するかどうかとは関わりがない。したがつて、「裁判に必要だから」署名捺印したことはとりも直さず原告の真意であり、右示談書がそのような真意に基づいて作成されたことは本件示談の効力に何ら影響しない。

結局、抗弁三は理由がない。

三再抗弁について

再抗弁1の事実は当事者間に争いがなく、同2の事実は<証拠>によつてこれを認める。

四再々抗弁について

1  再々抗弁2の事実は、当事者間に争いがない。

2  同1について判断する。

(一) 特約によると、第一回分割保険料は保険契約の締結と同時に、第二回以後の分割保険料は保険証券記載の払込期日に払い込まれるべきこととされ(二条)、また、その五条は、「当会社は、保険契約者が第二回目以降の分割保険料について、当該分割保険料を払込むべき払込期日後一か月を経過した後もその払込みを怠つたときは、その払込期日後に生じた事故については、保険金を支払いません。」と規定されている。すなわち、右条項の解釈としては、保険契約者がその責に帰すべき事由によつて分割保険料の払込を一か月を超えて遅延したときには、払込期日後に発生した事故について保険会社(被告)が免責されることになると考えるのが「怠る」という表現に忠実であるといえる。

(二) 次に、本件において、被告が主張するような解釈を採つた場合、前示のとおり、保険契約者(原告)は、本来の第二回目の分割保険料の払込期日にその払込の提供をしていながら、その後の保険会社(被告)の通知の到達によつて、自らの責に帰すべからざる事由により、右提供の効果(民法四九二条)、即ち、本件で具体的には原告が履行遅滞に陥つていないという地位を覆えされ、右払込期日後一か月経過前にあらためて同様の提供をしない限り、右払込期日後は保険契約の効力を否定されてしまうことになる。

右のような結論が保険契約者を不当に不利な立場に置くものであることは明らかである。

(三) 以上のように、特約五条に関する被告の解釈は、その文言上も、また実質上も採用し難い。したがつて、再々抗弁は主張自体失当である。

五結論

結局、本訴請求はすべて理由があるから認容し、訴訟費用の負担について民事訴訟法八九条を、仮執行の宣言について同法一九六条一項をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官橋本良成)

保険料分割払特約

第1条(保険料の分割払)

当会社は、この特約により、保険契約者が年額保険料(この保険契約に定められた総保険料をいいます。以下同様とします。)を保険証券記載の回数および金額(以下「分割保険料」といいます。)に分割して払込むことを承認します。

第2条(分割保険料の払込方法)

保険契約者は、この保険契約の締結と同時に第一回分割保険料を払込み、第二回目以降の分割保険料については、保険証券記載の払込期日(以下「払込期日」といいます。)に払込まなければなりません。

第3条(分割保険料領収前の事故)

保険期間が始まつた後でも、当会社は、前条の第一回分割保険料を領収する前に生じた事故については、保険金を支払いません。

第4条(追加保険料の払込み)

① 普通保険約款一般条項第一一条(追加保険料の請求)第一項に定めるところに従い、当会社が追加保険料を請求したときは、保険契約者は、その全額を一時に当会社に払込まなければなりません。

② 保険契約者が前項の追加保険料の払込みを怠つたときは、当会社は、追加保険料領収前に生じた事故については、保険金を支払いません。

第5条(分割保険料不払の場合の免責)

当会社は、保険契約者が第二回目以降の分割保険料について、当該分割保険料を払込むべき払込期日後一か月を経過した後もその払込みを怠つたときは、その払込期日後に生じた事故については、保険金を支払いません。

第6条(解除―分割保険料不払の場合)

① 当会社は、次の場合には、この保険契約を解除することができます。

(1) 払込期日後一か月を経過した後も、その払込期日に払込まれるべき分割保険料の払込みがない場合

(2) 払込期日までに、その払込期日に払込まれるべき分割保険料の払込みがなく、かつ、その翌月の払込期日(以下「次回払込期日」といいます。)において、次回払込期日に払込まれるべき分割保険料の払込みがない場合

② 前項の解除は、保険証券記載の保険契約者の住所にあてて書面により解除の通知をし、解除の効力は、次の時から、それぞれ将来に向つてのみ生じます。

(1) 前項第1号による解除の場合は、当該分割保険料を払込むべき払込期日

(2) 前項第2号による解除の場合は、次回払込期日

③ 第1項の規定により、当会社が保険契約を解除したときは、すでに領収した保険料は返還しません。

第7条(保険料の返還―車両保険に事故がある場合)

保険契約者が普通保険約款一般条項第10条(解除)第3項の規定によりこの保険契約を解除した場合であつても、既経過期間中に普通保険約款車両条項の規定により当会社がてん補する損害が発生していたときは、すでに領収した保険料は返還しません。ただし、保険契約者が年額保険料の全額の払込みを完了した場合は、車両保険契約の保険料を除いた保険料について、当会社が定めるところにより計算した保険料を返還します。

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